世界人を目指す
相手の文化について調べるのがマナー
言葉の勉強が万全だったとしても、自分(の国)の振る舞い方そのままで生活したために、最悪の場合は嫌われてしまうということは十分あり得ます。相手の国・地域のことはできるだけ多く知っておきたいものです。私たちは訪問する側なので、よく知られているマナーや慣習はきちんと把握しておき、トラブルのない(少ない)滞在にしましょう。
基本的なテーブルマナー
日本の食卓では、塩やしょうゆなどが欲しいときは自分で手を伸ばして取ります。ラーメン屋などのカウンター席で食べていると、自分の目の前に隣の人の手がヌッと出てくることがありますよね。その手は自分の前のコショウや箸を取っていきます。私たちはこれで腹を立てたりはしません。
欧米では、食卓で人の前にヌッと手を出すのは失礼となります。欧米式マナーでは、食事をしている自分の目の前に手が出てくるのを良しとしません。英会話の基本例文集を眺めていると、必ずと言っていいほど
Would you pass me the salt?
(塩を取ってくれませんか?)
という文が載っています。この文が出てくる理由を学校で習ったことはありますか?私はありません。実は、この例文の背景には、西洋文化圏では、塩やコショウなどは自分で手を伸ばして取るのではなく、そばにいる人に頼むのが礼儀というメッセージがあるんです。
私の失敗談を紹介します。イギリスの学生寮で一人、ぼーっと考えごとをしながら食べていました。ふと気づくと、さっきから同じ英語が何度も聞こえて来ます。
Would you pass me the butter, please?
(バターを取って!)
その声は私に向けられていたのでした。ずっと気づかずにいたんです。苦笑いをしながら、私はその人にバターを渡しましたが、興味深いのは、その人はずっと私に声をかけ続けていたことなんです。自分の手を伸ばすことはしませんでした。卓上の塩やコショウ(やバター)ひとつ取るにもマナーがあるのです。
ヌーハラ(ヌードル・ハラスメント)
「ヌーハラ」という言葉が少しだけ話題になりました。「ヌードル・ハラスメント」の略だそうです。すすりながら食べるのは、欧米では良くないとされることから来ています。西洋文化圏では、基本的にすするのはマナー違反。なかでもフランスはかなり厳しく「無音で喰え」と躾けるらしいです。
ヌーハラが話題になったのは、訪日外国人が麺類をすする日本人を快く思わず、「やめてくれ」と言ったからだそうです。それを聞いた一部の人が「旅行客の皆さんに失礼だから、すするのはやめましょう」と言ったのだとか。それがネットで拡散したようです。私は「郷に入っては郷に従え」(Do as the Romans do.)だと思っています。日本国内での日本人の食の慣習ですから。「日本ではこうなんだ」と説明すれば済むことだと考えます。すすらずに食べるのは自由ですが、日本国内で「すするな」と言われる覚えはありません。
ですが、私たちが欧米諸国に滞在するのでしたら、これもまた「郷に入っては郷に従え」(Do as the Romans do.)であります。麺類を始め、スープ、コーヒーなどをすするのは慎むべきでしょう。
「音を立てて飲食する」を英語では
と言います。
くしゃみの後の声かけ
日本では、くしゃみをしたらしっぱなし。一方、英語圏では、誰かがくしゃみをしたら、そばにいる人は「くしゃみ主」に
と言ってあげることになっています。由来は諸説あり、悪魔よけのおまじない説や大流行した伝染病が関係している説などが有名です。現代では、単なる習慣として、誰かがくしゃみをしたら”Bless you!”と言ってあげます。そして、くしゃみをしたら言ってもらいます。この”Bless you!”は、知らない人にも言います。もし言ってもらったら、相手が知らない人でもきちんと”Thank you.”と言いましょう。
くしゃみをした本人が自分に向けて”Bless me!”と言うこともあります。
くしゃみのしかた
日本人の多くは、手のひらで口元を覆ってくしゃみをします。欧米文化圏は握手の文化であることから、
- ひじの内側のところで顔を覆う
- 服で顔を覆う(ジャケットの襟を立てたり)
というのが主流です。バイキンがついた手で握手するわけにはいかないからです。
鼻のかみ方
日本人は静かに鼻をかみます。「静かに」を優先するので、時間がかかる場合があります。また、かまずにずっと鼻をすすっている人もいます。欧米文化圏では、鼻は一気にかめと言われます。
欧米人の鼻かみはワイルドです。一気にブブーッです。日本人みたいにじっくり攻めるのは潔くないと申しておりました。
- 鼻をずっとすするのは欧米的にはマナー違反
- じわじわと鼻をかむのも欧米的にはマナー違反
- 鼻はブブッと一気にかむのが欧米的なマナー
静かにしているべき場所では席を外し、離れた場所で一気にかましましょう。
あくまで訪問者として
私たちがよその文化圏を訪れる側の立場なら、その土地の慣習を尊重しようというお話です。誤解なきよう。あちらが世界標準だというような主旨ではございません。
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!