英会話広告の悲しい現実
(*上の画像はワザと横向きです。私自身の営業広告ではありませんし)私は、英語教材の情報をできるだけ集めるようにしています。書店を巡ることもありますし、ネットでも調べます。ネットで販売されているオンライン塾や教材の中には、正直ひどいものがあります。紙書籍は執筆から出版までにチェックが入るのが一般的で、目も当てられないような内容のものはそんなにありません。しかし、インターネットとなると話は変わってきます。目も当てられないもアリな世界です。
思わず保存した広告
以前、非常によろしくない内容の広告をネットで見つけました。メールマガジンのリンクを踏んだのか、ネットサーフィンで見つけたのか記憶が曖昧ですが、スクリーンショットは保存しておいたのです。この広告に載っていた会話文を転載しますのでお読み下さい。実にひどい内容です。 大文字小文字の区別、文法、句読点、ありえない間違いが「英会話教材」の広告に。スクリーンショットも添えますね。
<引用開始>
(注:「ネ」=ネイティブスピーカーと思しき人 「日」=日本人)
ネ:Hello. How are you?
日:Fine thank you and you?
ネ:Great. it’s gonna be fine. so what are you going to next?
日:I’m going to Shibuya after the lunch?
ネ:Oh-nice Are you speak English very well.
日:NO NO NO a little bit.(ちょっと)
ネ:So I am meeting with my friend at Shinjuku. Why do not you join us on the way?
日:新宿?NO。あっ、NOじゃない。えーと・・・・コイツ何言ってるんだ????
<引用以上>
英文添削をしてみた
文法の間違いだけでもけっこうあります。その内容から受ける違和感もかなりのもの。会話の内容も破綻しているのですが、直訳と英文添削をしてみました。
ネ:Hello. How are you?
(やあ、元気?)
日:Fine thank you and you?
(元気だよ。ありがとう。君は?)
*表記は”Fine, thank you. And you?”とすべき。表記の基本です。
ネ:Great. it’s gonna be fine. so what are you going to next?
(最高だよ。良い天気になるだろうね。それで、次に何へ行くの?)
*表記は大文字で始め、”It’s”, “So”とすべき。これも表記の基本です。
**”Where are you going next?”(これからどこに行くの?)と言いたいのでしょう。
日:I’m going to Shibuya after the lunch?
(その昼食後に渋谷に行くんだ?)
*breakfast, lunch, dinnerには通常theは付けません。
**なぜクエスチョンマークが付くのでしょうか。不要です。
ネ:Oh-nice Are you speak English very well.
(おお、いいね。あなたは英語をとても上手に英語を話すですか。)
*表記は”Oh, nice.”でよく、ハイフンは不要です。ピリオドが抜けています。
**”Are you speak”という英語はありません。疑問文なのかと思いきや、”You speak English very well.”と言えば済む英文です。
日:NO NO NO a little bit.(ちょっと)
(いえいえいえ少し。)
*”No, no, no. A little bit.”と言いたいのでしょう。後ろの「(ちょっと)」は下書きがそのまま残ったものでしょうね。表記がことごとく英語圏の5才児程度のレベルです。
ネ:So I am meeting with my friend at Shinjuku. Why do not you join us on the way?
(だから僕は新宿で友人と面会するんだ。途中で僕らに加わらない?)
*なぜ、”so”(だから)と続くのか。話の流れと噛み合いません。”so”は不要です。
**meet withは「~と(約束の上)面会する」という意味です。相手が友人ならseeを使います。
***atではなくinです。
****提案や誘いを意味する”Why don’t you…?”を意図していると思いますが、否定疑問の形はdo notと分けずに縮約形のdon’tを用います。
*****”on the way”で「途中」という意味。なぜここで使うのかが不明。
日:新宿?NO。あっ、NOじゃない。えーと・・・・コイツ何言ってるんだ????
*「コイツ何言ってるんだ????」という認識は正しいのです。この人の英語力のせいばかりではありません。
直訳をまとめるとこうなる
ネ:やあ、元気?
日:元気だよ。ありがとう。君は?
ネ:最高だよ。良い天気になるだろうね。それで、次に何へ行くの?
日:その昼食後に渋谷に行くんだ?
ネ:おお、いいね。あなたは英語をとても上手に英語を話すですか。
日:いえいえいえ少し。
ネ:だから僕は新宿で友人と面会するんだ。途中で僕らに加わらない?
日:新宿?NO。あっ、NOじゃない。えーと・・・・コイツ何言ってるんだ????
ツッコミどころ満載ですね。冒頭の様子から、友人同士の会話なのかと思われます。「良い天気になるだろうね」と少し無理のある一文に続き、「何に行くの?」と、日本語でも使わない言い回し。「その昼食」とはどの昼食なのでしょう。話題に上がってさえいません。そして、友人同士ならすでに英語力はわかっているはずなのに、いきなり「あなたは英語をとても上手に英語を話すですか」と来ました。人間関係が謎です。また、この部分は元の英文が文法的におかしいので和訳しようがありません。敢えて訳して、こう表記しました。元の英文のおかしさを反映しようとした「意訳」です。さらに、「これから渋谷に行く」と言っている人を、なぜ新宿に誘うのか。しかも、「友人との面会」のために。「途中」も意味不明です。めちゃくちゃですね。
このような間違いに気づかない場合、どうなるのか
この広告を作った人の英語力、国語力(日本語力)はどうなっているのでしょう。英語にも日本語にもまるで添削が入っていません。このようなモノを平気で出せる業者の神経とは。このような最低クオリティの広告でも、英語を勉強したくて、藁にもすがる思いで購入する人がいるのだろうと思うと気の毒になります。この教材を選ぶ人は、おそらく初級者。まだBE動詞と一般動詞の区別が付かない人などだと考えられます。”Are you speak English very well.”の間違いに気づかないレベルの人でしょう。わからない人が掴まされるのでしょうね。
相手は「売れさえすればよい」と考えているのかも知れません。「英語ができない人に売るのだから、広告にまともな英語を使う必要はない。どうせバレない」と考えているのかも知れません。あるいは、英語講師チームはまともで優秀で熱心なのに、営業・マーケティング部門のスタッフがそう考えているだけかも知れません。内部の実情はわかりませんが、このような広告を打ち出している以上、誰かが怠慢なのです。
新年や新年度を迎える時期になると、新しいことを始めようと考えますよね。誰もが最初は初心者です。スタート時の力を気にする必要はありません。大事なのは、継続の意志と行動です。ただし、教材やスクールの見極めと判断はしっかりと。判断が難しいなと思ったら、誰かにアドバイスをもらって下さい。「これ、どう思う?」と。そして、やると決めたら、明確な目標と決意を持って取り組むことです。教材やスクール選びは難しいことがあります。上のような広告には惑わされないようにして下さいね。
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!