英会話と外国人
コンプレックス
私が多感な時期といえば、1980年代前半です。音楽ならアイドル全盛、もしくは洋楽主流。映画ならハリウッドが当たり前、そんな時代でした。テレビで人気があったのは、「なるほど・ザ・ワールド」「世界まるごとハウマッチ」など。なつかしいです。「なるほど・ザ・ワールド」は、世界のあちこちを紹介してくれるので、国際志向だった私には嬉しい番組でした。
この頃から、日本語の上手な一般の外国人がテレビに出始めました。当時、日本語は世界で最も複雑な言語で、外国人にはマスターできないと考える風潮があったのです。そこへ、ケント・ギルバート、ケント・デリカット、チャック・ウィルソン、オスマン・サンコンらが出てきました。多くの人が、日本語を流暢に話し漢字を書く、いわゆる「変なガイジン」に驚き、親しみを持ったのです。とりあえず、そういう時代だったように思います。
外国人タレントは活躍の場を広げ、コマーシャルに出たり、自分の冠番組を持ったり、人気は相当なものでした。しかしここに素直になれない若造がひとり、状況を傍観しているのでした。違和感の男、工藤 裕です。その若造が感じた違和感とは、日本人の彼らへの接し方でした。例えば、
- 「日本人はどんなところを直すべきですか?」
- 「日本食では、何が苦手ですか?」
- などなど
外国人にこの国の欠点を指摘してもらおうとする感じがイヤだったんです。外国人崇拝みたいで。歴史的な経緯は置いておきますが、日本人の外国人コンプレックスは、あの頃はずいぶんひどかったように感じます。
その「外国人」ですが、実際は「白人」を指します。日本人にとっての外国人は、基本的に「欧米白色人種」です。コマーシャル、モデル、いろいろな場面で白人のモデルさん、俳優さんが起用されます。「そのコマーシャル、外国人(白人)を使う意味あるのか?」と思うものは多いと思います。白人イコール美の象徴とでも言いたいかのような。これは怖いのであります。英語教育、英会話指導の観点からしても怖いです。なぜかというと、「人間は往々にして、自分より上だと感じている人の話す言葉を、畏れ多いと思ってしまう」からです。「間違えたら相手さまに失礼だ」と考える傾向も生じます。
英会話はマスターできる
英会話をマスターできない理由とは何でしょう。私が思うに、ひとつの原因は、白人を偉いと思ってしまうこの感覚があるのではないかと。白人が目の前にいると緊張する人がいます。そして、ちょっと聞き返されただけでドギマギしたり。同じことが、アジア人同士で起こるかというと、そんなことはないですよね。日本人の英語苦手病の原因のひとつが、このような白人崇拝による自信喪失にあるとすれば私は言いたい、
「どこの国であろうが、人種がなんだろうが、同じ人間だもの。堂々と振る舞おうよ」
と。英会話を楽しむには、まずそこからだと思っていますが、あなたはどう思いますか?
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!