カタカナ英語表記について思うこと
英語教育において、カタカナ表記を活用すべきか否かの議論は昔からあります。使えるものは使おうと考える人もいれば、間違った発音を覚えてしまうからダメという人もいます。penを「ペン」と表記しても発音しても問題ないですが、likeを「ライク」と表記して、発音もカタカナ通りだと困ります。カタカナでも問題がない場合と、カタカナで覚えられるとまずい場合の両方があるのです。
発音記号という便利なものがあるので、学校で教えればいいという意見もありますが、なかなか定着しません。生徒の負担が大きくなる場合がありますし、学校という環境では、全員がそうまでして英語を覚えたいとは思わない。というより、それで英語が嫌いになるという側面もあります。単語のつづりはテストされるし、音声記号も覚えろとなると苦痛です。カタカナ発音にならないように指導したい。英語指導者の苦労は続きます。
さて、日本の英語教育の問題点のひとつは受験教育です。読解偏重で何十年もやってきました。読解重視とは、つまり視覚重視です。改革の動きがありますが、大人世代は「活字を見る英語」で育ってしまいました。
しかし、良い傾向も見られます。若い世代の意識変化です。それも無意識の。それが「カタカナの捉え方」にあるのです。
従来、横文字をどうやってカタカナにしてきたでしょうか。例えば、peopleという語を聞いたら、つづりがどうなっているかを確認し、ローマ字表を土台に「ピープル」とカタカナを当てはめてきました。
peopleが例に挙がった瞬間、ピンと来たかも知れませんねが、ここから「ピーポー」の話になります。今の若い世代は、聞き取った音からダイレクトにカタカナ変換するようになってきました。peopleは、実際に聞こえる音は「ピーポー」です。「ピープル」とは絶対に聞こえません。「ル」なんて微塵も聞こえません。事実、原音はそう発音されているのです。ネイティブスピーカーに会う機会があったら、「ピーポー」と言ってみてください。peopleと認識されます。「ピープル」と言ってみてください。聞き返されます。
partyも同様です。「パーリー」と言ったり書いたりする人が若い人を中心に増えてきました。北米英語では、実際にそう発音されていますから、実に正しい認識です。さらに、アナ雪を思い出してみましょう。ヒット曲、“Let It Go” は、みんな「レリゴー」と言って楽しんでいました。原音に忠実です。
このようなカナ表記の変化を見ていると、若い世代に期待してしまいます。すべての単語を原音通りにカタカナ化できるとは言いませんが、言葉のリズムや音のイメージを理解するために、補助的な道具としてなら、カタカナの活用はアリだと私は思っています。若い人たちのセンスを信じたいと思います。
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!