私はかつては学校で、かつては塾で、そして今はプライベートのマンツーマン・スタイルで英語を教えています。ここ数年は小学生にも教える機会に恵まれております。幅広い年代の受講生のみなさんと交流していると、多くの気づきが得られます。ありがたいことです。
今回のタイトルは「多くの人が英語を練習しなくなる理由とは」としました。教員時代から現在まで、ずっと変わらない厳然たる事実があります。それは、
「毎日英語に触れ(ることができ)ているという人の数は、ほぼゼロである」
ということです。中学生や高校生の場合は、入試に対応できる英語スキルがあればよいと考える人が多いですし、学校の英語は自由意志の選択ではありませんし。しかし、自らの意志で英会話に取り組み始めた社会人でも、レッスン以外の時間に英語に触れることがほとんどないというのは、少し寂しいなと思うのです。
ほとんどの場合、「話し相手がいないから」という理由が挙げられます。この時の話し相手は、ネイティブスピーカー(母語話者)の意味であることが多いです。英米人が強く意識されます。英語での話し相手はネイティブでなくては、と考えると、英語を使う機会はどんどん遠のく可能性が高いです。小規模の市町村であれば特にそうでしょう。また、ネイティブへのこだわりがないとしても、近くに外国人がいないことを理由にしてしまうと、これもまた残念なことになります。
物事は毎日コツコツと続けること。これが王道なのです。では、英会話の機会があまり得られない状況で、あきらめずに続けるにはどうしたらよいでしょうか。
「話す機会がないのに、英語を練習しても意味がない」というよりは、
- 英会話の相手はネイティブである必要はない
- 「会話」の機会がないとしても、映画やYouTubeの英語がわかれば嬉しい
- 英会話は日頃から一人でも楽しめる
と考え直してみてはどうでしょう。ポジティブ変換というやつですね。
日本人同士でも、英語仲間が見つかれば英会話はできます。英語仲間が見つからなければ独り言でもいいのです。どんどん声に出してみてください。きっとそれまでの意識が変わっていきますよ。そうすると、次のようなことを前向きに言えるようになってきます。
- 「英語を話せるようになりたいので、毎日独り言方式で話しています。頭に浮かんだことを少しずつ声に出しているんです。」
- 「英会話レッスンを週一回受けています。レッスン日以外には、一日1フレーズ、必ず声に出すことにしています。」
- 「料理が好きなので、台所では調理の手順を英語で言ってみるんです。」
何事も日々の取り組みがあればこそなわけですが、このような小さな取り組みが「その時」という名の成果につながります。街を歩いている時に、海外からの旅行者に話しかけられた時に、多少つたなくても会話が成立します。これが「その時」のひとつです。また、現代では、実際に対面しなくても英語に触れることができます。画面の向こう側にいる人の英語が聞き取れる瞬間も訪れます。これも大きな喜びです。字幕の有無は関係なくて、「あ、聞き取れた!」というのも「その時」ですし、誰かの言葉を受け止めたのですから、ひとつのコミュニケーションがそこにあると私は思います。
「使う機会がない・必要性がない」はどんな分野でも、どんな人にもあります。でも、もし興味を持ったのに、そういう理由が先行して練習をあきらめてしまいそうなら、一度考え直してみてほしいなと思うのです。
私の受講生の方には、毎日音声で課題文を提出してもらっています。内容はそれぞれですが、毎日最低限の英語発声の機会があるということで、これも「その時」を楽しみにしてもらう意味合いを含んでいます。
週に一回のレッスンでしか英語に触れる機会がないことをお嘆きなら、週に一回しかないレッスン以外の時間にも英語をひと言、片言でもいいので使ってみましょう。きっと何かを起こせるようになりますよ。Make things happen!
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!