「ピンポーン♬」は無理
テレビで、ひな壇芸人というのがいます。1980年代後半からあのようなセットが出始めたようですが、目立ち始めたのは、2008年頃に起こったリーマンショック以降ですね。お金がかからないセットで、というのが実情のようです。ひな壇にいるのは主にお笑いの人ですが、かわいいモデルさんや女優さんもいます。そこでのトークが上手かどうかで売れる売れないが決まることもあるようで、芸能界はシビアですね。話が下手な芸能人もいて、何が原因かはそれぞれだとしても、私の視点で気になるのは
話の大半が擬音(効果音)の人
です。
「なんかサプライズで【バーン】ってケーキが出てきてえ~、それが【ふわ~】ってしてて~」
的なもの。「あー」「どーん」「きゃー」など、発言の大半が「音」でできており、「言葉になっていない」んですね。個人同士の会話なら私が文句を言う話ではありません。しかし、英語の勉強という観点では、注意した方がいいだろうなと思います。
日本語は擬声語、擬態語が実に豊富です。しかし、欧米言語には日本語ほどの多様性はありません。英会話との関連で私が注意すべきと考えているのは、特に「効果音」的な表現です。これを多用するクセがある人は、英会話では不利になります。先入観とは怖いものでして、「音」を模した表現は世界中で通じると思う人が少なくありません。実は、擬音の大半は、他の言語では伝わらないのです。例として、ある日本人がフランス人にクイズを出題しました。正解したので、その人は
「ピンポーン♬」
と言いました。ところが、相手のフランス人は「?」という表情を見せたのです。正解チャイムの音を表現した「ピンポン」。他の言語圏の人にも通じそうに思えるかも知れませんが、そうではありません。「バン」や「ボン」など通じるものもありますが、「にゅるにゅる」「がちがち」「ぴかぴか」の語感は伝わらないのです。日本語の擬音や効果音は、日本語の中で醸成されるものであって、万国共通ではないのですね。
英会話の練習では、擬音から離れることを意識するのが大切です。例えば
という単語があります。これはシンバルなどが「ジャンジャン鳴る」という意味です。日本語では「ジャンと」と「鳴る」を分けて表しますが、英語では、clashという単語の中に「ジャン」という音のニュアンスが含まれているわけです。「『ジャン』って英語で何て言うの?」という質問はできないということになりますね。
ただ、英単語にも日本人がイメージしやすいものが、いくつかはあります。例えば、fluffyは、形容詞で「ふわふわした」という意味です。日本語の語感に通じるものがあって覚えやすいと思います。また、sizzleは、肉などが「じゅうじゅうと音を立てる」です。これも発音からイメージを結びつけやすいと思います。
擬音語・擬態語は、日本語の情感の豊かさを語る上で欠かせないものです。しかし、その音の感覚が万国共通ではないというは、きちんと心に留めておいたほうが良いでしょう。
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!