語学学習においては、基本単語が厄介になることが多々あります。なじみのある単語であるがゆえに、他の意味やニュアンスで使われていても気づきにくいのです。今回紹介するus and themもそのひとつでしょう。
us and them、直訳すればもちろん「私たちを(に)と彼らを(に)」です。ですが、別のニュアンスで用いられることもあります。
このフレーズは、不和・相違・不一致・不協和・意見の衝突を表します。異なる社会的集団の間の衝突を指しているのです。自分の属する集団と他の集団を区別する言い方です。
「我々と彼らは本質的に違うのだという考え方」
という、少しまどろっこしい意味になります。
us and them
複雑化が進む現代社会では、自分が何者であるか、どこに属しているかをはっきりさせたいと感じるようになっています。心理学では、集団内の私たちの社会的アイデンティティが規範、態度、行動を形成すると考えられています。
家族、チーム、国家などが自尊心やアイデンティティ形成に重要な要素だと考えられ、私たちはカテゴリー分けによって、人がどの集団のメンバーであるかを決めていると考えられます。ここから、usとthemの発想が生まれるのですね。usは内集団、themは外集団です。
私たちの行動パターンは集団に合わせたものですが、このことで他の集団との違いを認識します。やがて、自分たち(us)は優秀で、外の集団(them)はだめなヤツらだという考えが育つようにもなり、自分たちのプライドを保つために外集団の悪い面を見つけようとするようになります。
心理学ではこのようなことが言われており、us and themと言えばそれは敵対的な心情ということになります。また、このような対立を表す心理をus-and-them mentalityやus-versus-them mentalityと呼ぶこともあります。
堅い話になってしまいましたね^^
では例文を。
(1) If parents are more involved in school, there could be less chance of an us-and-them situation developing.
(保護者がもっと学校との関わりを増やせば、対立状況が進む可能性は少なくなっていくかも知れない。)
(2) What if the police behave in an us-and-them way?
(警察が「敵か味方か」の基準で行動するようになったら、どうしよう。)
(3) There is nothing different between us and them.
(私たちと彼らでは何も違わないのですよ。)
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!