なぜitを「それ」と訳させるのか

英語を習い始めて、itという単語が登場すると「それ」という意味だと習います。

“What is this?”(これは何ですか)

It is a pen.”(それはペンです)

のような翻訳をさせられました。その「それ」に何かぎこちなさを感じませんでしたか?「これ・あれ」を「それ」と言い換えて生じる感覚のズレを。はい、あなたのその感覚は正しかったのです。

itは「それ」でしょうか。いいえ。

文法的に言うと、英語のitは代名詞で、日本語の「それ」は指示詞です。代名詞とは、同じ単語の繰り返しを避けることばで、指示詞とは「指差し表現」です。はたらきが違うので、itは「それ」とイコールにはなりません。

指示詞とは「こそあど言葉」のこと

日本語の指示詞とは「こそあど言葉」のことですが、私たちはモノがどこにあるかによって

これ、それ、あれ

という3つを使い分けます。下の図1をご覧いただければすぐにわかります。

【図1】

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日本語の「それ」は、話し手からは離れていて、聞き手のそばにあるモノを指す言葉ですが、英語では、その場合thatを使うのです。英語には、指示詞はthisとthat(複数ならtheseとthose)の2種類しかなく、日本語の「それ」に相当する単語はありません。itではないのです。これを学校で習うことはまずありません。図2で確認して下さい。

【図2】

3つの指示詞「これ・あれ・それ」に相当する英語は、thisとthatの2つなのです。日本語で「それ」と指差すモノを、英語でitと言うことはないのです。

ではitとは何モノなのか

itは代名詞です。代名詞とは、同じ名詞の繰り返しを避けるためのもの。例えば、Johnと言ったら、次からはheを使います。Maryの話だったら、Maryと言い続けずにsheを使います。同じように、smartphoneと言い続けずにitにします。英語のitは、日本語の「それ」とは違うものなのです。

このポイントは、中学1年でさらりと習っています。

What is this? – It is a tablet PC.

thisで聞かれて、itで答えていますね。このことです。itは、thisを繰り返さないために登場しているだけ。意味的には「これ何?」「これタブレットだよ」です。機械的に「それ」と訳せという話ではありません。itが「それ」という意味を持っているのではないのです。

英文和訳で感じる「それ」という言葉への違和感の原因はおわかりいただけましたか?「ここにあるモノ」の話をしているのに「それ」と和訳するから変な感じがするのです。学校や塾が、itを「それ」と教えるのは大きな問題です。

itは「それ」ではありません。日本語の「それ」は指差し表現ですが、英語のitは代名詞だからです。

 

今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!

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