someone, somethingは「誰か」「何か」とは限らない
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someone, somebodyは「誰か」と習います。somethingは「何か」と習います。学校や塾でこのように習うと、その後辞書で調べ直すことはまずありません。それはそれでしょうがないことなのですが、英会話では次のような表現をよく使います。それに出会った時に、調べ直す気になるかならないかで差が生まれます。
(1)
Bill: Hi, John. What are you doing here?
(やあ、ジョン。こんなところで何してるの?)
John: Hi, Bill. I’m waiting for someone.
ここでのJohnのセリフはどういう意味だと思いますか?この意味を生徒に問いかけると、十中八九
「私は誰かを待っています」
と答えます。そりゃそうだ、someoneの意味は「誰か」だと習ってきたんだから。でも、そう答えた瞬間、疑問に思ってほしいのです。
「え?『誰か』って、知らない人を待ってるの?どういうこと?」
と思ってほしいのです。疑問を持たないということは、単に訳語を当てただけに過ぎず、意味をきちんと捉えていないという危険性が非常に高いのです。これの実際の意味は
John: B: Hi, Bill. I’m waiting for someone.
(ある人を待っているんです)
「ある人」です。「ちょっと人を待ってるんだよね」ということ。具体的な名前は言わないけどねという感じなわけです。同じことがsomethingでも言えます。
(2)
Mike: Hey, Jack. What are you doing under the desk?
(よう、ジャック。机の下で何やってるんだ?)
Jack: Uh, I’m looking for something.
「何かを探している」は変です。本人もわからない「何か」を机の下で探すのか、と。そうではなく
Jack: Uh, I’m looking for something.
(ある物を探しているんです)
「ある物」です。「物を探しているんだよ」です。
someについて裏話
someone/somebody, somethingに共通して含まれる言葉、some。これの意味は
「いくつかの」
と習います。”some pens”(何本かのペン)、”some girls”(何人かの女子)というような例でおなじみですね。someの使い方はそれだけではありません。上の例は
[some+複数名詞]の場合は、「いくつかの~」という意味
というもの(補足:[some+不可算名詞]だと、「いくらか・若干の~」という意味になります)。実はもうひとつありまして、
[some+単数名詞]の形を取ると、「何らかの、とある」という意味
になるんです。ここを知らないという人は多いです。なぜ知らないかというと、授業で習うことがほとんどないからです。あなたのせいではありませんので、ご安心を。ということで、具体例を挙げると
(3) some pens(何本かのペン)
(4) some pen(何らかのペン、とあるペン)
(5) some girls(何人かの女子)
(6) some girl(何らかの女子、とある女子)
someの後ろには複数形しか来ないわけではありません。単数が来ることもできます。意味が違う使い方になるんです。そしてsomeone/somebody, somethingに戻ります。これらの単語をよく見てみると、
- someone = some + one [some+単数名詞]
- somebody = some + body [some+単数名詞]
- something = some + thing [some+単数名詞]
となっています。結論は
- someone/somebody「何らかの人(=誰か)、とある人(=ある人)」
- something「何らかのもの(=何か)、とある人(=ある物)」
になります。不特定の人や物に関する話題なら「誰か・何か」ですし、具体名を挙げるほどでもない人や物に言及する状況なら「ある人・ある物」なんです。
someone/somebody, somethingを機械的に「誰か」「何か」としないようにしましょうね。
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!