今回は、英語と日本語の語感の違いを感じる単語のお話です。ビリー・ジョエル (Billy Joel) の1977年の名曲に「ストレンジャー」があります。

ストレンジャー (stranger) とはどういう意味の言葉なのでしょう。

stranger (見知らぬ人)

辞書などでは、stranger便宜上「見知らぬ人」と訳しています。物騒な世の中ですから、次のように親が子どもに言います。

(1) Don’t follow any strangers. (知らない人についていっちゃダメだよ。)

また、英会話文例集で見たことがあるかも知れませんが、観光地などを歩いている時に、人に道を聞かれたら次のように答えます。

(2) I am a stranger here. (この土地の人間ではありませんので。)

のように答えます。「見知らぬ人」という訳に合わせるなら、「私はこの土地の人たちからすれば見知らぬ人です」ですね。住んでいないので住民にとって面識がない人です。

名詞strangerの使い方、基本は以上です。特に難しい感じはないと思いますが、ここでひとつ、私のアメリカ滞在中のエピソードをひとつ紹介しますね。strangerがらみです。

私はアメリカ留学時代に理論言語学を専攻していました。その中で、幼児の母語習得に関する調査があったのです。地元の保育園を訪れ、教授と大学院生たちが園児たちと遊びます。その遊びの中で、幼児の言葉の発達度合い、言語の成熟具合いを観察するのです。すると、一人の子が教授のところへ近寄ってきて、こう言いました。

Are you a stranger?

さて、この英語について、あなたはどう感じますか?英文和訳で行けば「あなたは知らない人ですか」となりますが、少し違和感のある日本語ですよね。知っている人か、知らない人なのかは、見ればわかるのに「あなたは知らない人なの?」と、この解釈では字面的におかしい。日本語としては不自然です。でもこれ、英語としてはまったく自然なのです。

strangerは辞書的には「見知らぬ人」です。しかし、英語本体での感覚は「その場の関係者ではない人」なのです。日本語なら「部外者」が一番近い意味ではないでしょうか。

その幼児が言っていたのは、「おじちゃん、ぶがいしゃ?」です。上の例文(2)も、もっと理屈を込めて言えば、「私はこの土地に直接関わっていない部外者です」ということです。

strangerを「見知らぬ人」で理解すると、会話によっては意味の受け取りに不都合が生じる場合がありますから、ぜひ参考にしてもらいたいと思います。よく「英語は英語で考えろ」「英語脳」と言われますが、和訳語に頼り過ぎてはいけないという意味で共感できるアドバイスです。

最後に、冒頭で紹介したビリー・ジョエルの楽曲Strangerはどういう意味なのか。歌詞は和訳も含め、ネット検索でいくらでも出てきますので、ここでは省略します。歌は概ね、「人は誰でも、他の人には見せることのない面がある」という内容です。表向きの顔と、他人には見せない顔がある、そういう感じ。人に見せたことのない一面、これを別の自分と言うのだとすれば、それは他の人からすると「見たことのない人」「自分が関係していない人」です。だからstrangerなのですね。人は誰でも、自分の中に「他の人からすればstrangerと言える別の自分」がいる、なのです。

Strangerに邦題(日本語タイトル)を付けるとするなら、「別の顔」「本性」のニュアンスを持ったタイトルにすればよいわけです。実際には、ポップでキャッチーな邦題を付けられなかったので、カタカナで「ストレンジャー」としたのが実情でありましょう。

平成以降、洋楽のタイトルに邦題が付くことが、ほぼなくなりました。ポップ音楽文化的には少し寂しい気がします。

今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!

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