私、英語コーチ工藤 裕は甘党です。何かの時のためにお知りおきください。和菓子、洋菓子ともに大好きです。高級である必要はありません。洋菓子の場合、チーズケーキを真っ先に選ぶことが多いです。ただそれだけの理由で、今回はチーズケーキをテーマに取り上げます。
チーズケーキには大きく2種類ありますよね。焼いたものと焼いていないものです。どちらもカタカナで読んでいますが、一方は英語的には間違いだということはご存知でしたか?
焼いた方、こちらは問題ありません。baked cheesecakeと呼び、カタカナ表記はベイクドチーズケーキになっています。英語的には「ベイクト」と方が原音に近いのですが。
(1) baked cheesecake
問題は焼いてない方です。レアチーズと言っています。この「レア」が英語のrareから来ていることは明らかです。ステーキの焼き加減を指す「レア」から取ったのでしょう。
(2) rare
まず最初に、rareは「生焼け」の意味で使われる単語です。そして、どういうわけだか、ステーキにしか使われません。rareは「ステーキが生焼けの」と覚えるしかありません。
「レアチーズケーキ」を英語だと思っていませんでしたか?実際は和製英語です。上で述べたように、「生焼け」の意味でのrareはステーキにしか使われません。それ以外の場合、形容詞rareは「まれな、めったにない、珍しい」という意味で使われます。ですので、英語だと思ってネイティブスピーカー(母語話者)にrare cheesecakeと言うと「珍しいチーズケーキ」という意味で受け取られることになります。
ちなみに、レアチーズケーキは日本発祥だと言われています。業界でも詳しい資料はないらしく、参考にした海外のお菓子はあるようですが、どうやら日本独自に発展させたものらしいですよ。「レアチーズ」が和製英語であることを考えると、納得が行きます。
レアチーズケーキが日本独自のものだとすると、海外の人にはなじみが薄いことでしょう。そうしたら、英語ではどう説明してあげたらよいでしょうか。検索してみたら案外すんなりと答えは出ました。
(3) no-bake cheesecake
と言えばオーケーとのことです。焼いた方がbaked cheesecakeなので、焼いていない方にはunbakedを使えばいいかなと思いましたが、no-bakeとなっています。よく考えてみると、unbakedは「調理されていない」という意味ですが「これから調理しないと食べられない」という意味になります。ですから、「unbaked cheesecakeです。はいどうぞ」とは言いにくいですよね。一方のno-bakeは「焼く必要がない」という意味です。レアチーズケーキを正しく説明するには、やはりno-bake cheesecakeだということになります。
多くの人に愛されるチーズケーキも和製英語の洗礼を浴びていたんですね。「レアチーズ!レアチーズ!」と喜んでいましたが、「まれなチーズケーキ!めったにないチーズケーキ!」と喜んでいたわけです。
世間に「流通」しているカタカナ語は、疑ってかかる方が無難です。メディアで使われているからと言って、英語的に正しいとは限りません。メディアは日本の英語教育を批判することがよくありますが、その一方で「いいじゃん、別に」と日本独自の和製カタカナ英語を作ってしまうことがよくあります。英語関係者にとってはつらいところなのです。
でも、これからも店頭では「レアチーズケーキひとつください」と言わざるを得ないのですけどね。
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!