I like to be a free spirit. Some don’t like that, but that’s the way I am. [Diana, Princess of Wales]
(私は自由な精神でいたい。そういうところを嫌う人もいますが、それが私なのです。[ダイアナ元英国皇太子妃])
故ダイアナ元英国皇太子妃の言葉です。日本語訳と照らし合わせて「それが私なのです」の部分の英語、That’s the way I am.がよくわからないと感じたかも知れません。日本語の感覚だと、すぐに使いこなせる気になれない英語表現のひとつがthe way I amです。
1970年代後半、アメリカのミュージシャン、Billy Joel (ビリー・ジョエル)が放った名曲にJust the Way You Areがあります。当時の邦題は「素顔のままで」。理由はわかりませんが「そのままの君が好き」という邦題で紹介されることもあります。このタイトルでは、the way you areというフレーズです。
これらの場合、the wayは「道」ではなく「方法、やり方、物事のあり方」を意味します。基本的な使い方は、
the way 主語 + 動詞
です。次の例のように、一般動詞を使うと和訳がしやすい分、理解も容易です。
(1) the way I speak
(私が話すやり方→私の話し方)
(2) the way he plays the piano
(彼がピアノを弾くやり方→彼のピアノの弾き方・奏法)
もう一曲参考にしてみましょう。The Beatles (ビートルズ)に、Somethingという曲があり、その出だし部分は次の通りです。
(3) Something in the way she moves attracts me like no other lover.
the way she movesとあります。「彼女が動くやり方→彼女の動き方」ということですが、その女性の振る舞い、仕草を指しているのです。
これらのような例であれば、「the way 主語 + 動詞」を理解しやすいのですが、BE動詞が使われると意味がわかりにくいと言う学習者が多くなります。大事なのは「BE動詞の意味」です。英会話の練習時に「BE動詞とは」と考えることはほとんどないと思いますので、少し時間を取ってみましょう。
BE動詞 (am, is, are) を最初に習う時は、「~である」の意味だと教わります。I am a doctor.のようなパターンです。その後、学習が進むと、INGとペアで進行形になるとか、過去分詞とペアで受身文を作るというように、だんだんBE動詞が単なる記号のような扱いに変わっていきましたね。
実は、中学1年生時点で習っているのですが、BE動詞にはもうひとつ意味があります。
「ある・いる」
です。初級段階では、後ろに前置詞を伴って「人や物の場所の表し方」として覚えます。Your phone is on his desk. (あなたの電話が彼の机の上にあります) や、John is in the kitchen. (ジョンは台所にいる) です。「ある・いる」は、少し堅く言い換えると「存在する」ですね(「電話が彼の机の上に存在している」「ジョンは台所に存在している」)。少し雰囲気が伝わってきたでしょうか。
ではここで、改めてBE動詞を使った「the way 主語 + 動詞」の型を見てみましょう。
(4) the way I am
(私が存在するやり方→私の存在のあり方→私のあり方)
(5) the way you are
(あなたが存在するやり方→あなたの存在のあり方→あなたのあり方)
冒頭紹介した、ダイアナ元英国皇太子妃の言葉にあるのが
(6) That is the way I am.
(これが私のあり方なのです。)
という意味なのがわかってもらえると思います。私の本質はそういうものなのだ、私はそういう人間なのだという意味です。
Billy Joelの曲のサビでは
(7) I love you just the way you are.
と歌われます。「あなたのあり方が好きなのだ」とは相手の本質部分が好きということ。素のあなたが好きだという意味なのです。
「the way 主語 + 動詞」の使い方、わかってもらえましたか?
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!