■gender-neutral
ジェンダー(性別)も言語に影響を与えます。
■今日のフレーズ
gender-neutral
性別的に中立な、性別による区別のない、性別不問の
■例文
(1) I have always preferred gender-neutral clothing.
(私はいつも性別の区別がない服を好んできました)
(2) XYZ Corp need to devise gender-neutral standards for employee evaluations.
(XYZ 社は従業員評価に関して性別に中立な基準を策定する必要がある)
■解説・コメント
gender-neutralは「性別的に中立な、性別による区別のない、性別不問の」という意味です。言葉に関して言うと「単語や名前などが性別による区別のない」という意味になります。男・女という区別なく平等にという考え方で、言葉づかいにも影響を与えています。特に北米英語を中心に、性別を連想させる言葉の使用をやめていきました。
■gender-neuturalな言葉の変化
man (男) が付く単語の言い換えが代表的です。businessman (ビジネスマン) はbusinessperson、chairman (議長) はchairpersonと言うようになりました。firefighter (消防士) はかつてはfiremanでした。また、女性を意味する語尾の単語の使用が控えられています。例えば、actress (女優) と言うのをやめ、男女ともにactor (俳優) となっています。さらに、husband (夫) とwife (妻) と区別するのをやめ、partner (パートナー) と呼び合う人が増えています。
■単数のthey (singular they)
英語の人称代名詞は、単数形の場合はheとsheで性別を区別します。ところが複数形になると「彼ら」も「彼女ら」もtheyです。一方は性別の区別があり、一方はありません。表現の公正さの視点から、これには工夫が必要だと考えられるようになりました。次の例を考えてみましょう。
(a) You should see a doctor. X will give you some advice.
(医者に診てもらいなよ。何かアドバイスしてくれるよ。)
例(a)のXに当てはまる適切な人称代名詞は何でしょうか。従来は、性別の区別のない名詞を代名詞にするにはheが使われていました。しかし、時代が進むと、次のようにhe or she (彼または彼女) 表すようになります。
(b) You should see a doctor. He or she will give you some advice.
ところが、どうして男性形が先なんだという論争が起こります。she or heでもいいではないか、と。s/heと表記する工夫がされましたが、発音では表現不可能。he or sheとshe or heを交互に使ったり、常にshe or heの語順で話す人がいたりと不便が生じました。
その結果として使われ始めたのが単数のthey (singular they) です。theyを敢えて単数形として使おうとなったわけです。
(c) You should see a doctor. They will give you some advice.
singular theyが広まるにつれ、メディアも動きました。新聞社The Washington Postが2015年に単数のtheyを正式に取り入れると発表。AP通信が2017年に採用と続きました。
単数のtheyが主語の時、動詞に三単現のSは付けるのでしょうか、BE動詞はisにするのでしょうか。現状ではこれまでのtheyの使い方をし、They isとはせずThey are、They goesではなくThey goです。今後変化があるのかどうかはわかりません。
■海の中もgender-neutral
人魚といえばマーメイド(mermaid)ですが、実はmermaidは女性の名詞です。意外ですが、男性人魚のmermanという語もあるにはあるのです。merwoman, merbaby, merchildという語もあるにはあるとのこと。そして、これらについても20世紀後半にはmerpersonが出てきたそうです(複数形はmerpeople)。
これから英語がどう変化するのか、日本語ではどんな変化があるのか、他の言語ではどうか。時代の変化に言語がどう対応していくのか興味深いですね。
■Today’s One Word
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!