英語には同じような意味を表す語が多い、このことはよく知られています。日本語も語彙が豊富ですが、どちらも習う側にとっては大変ですね。でも、語彙が豊富であるということは、表現の幅広さ、深みにつながりますから大切なことです。
今回は頭の良さを表現する単語について見て行きたいと思います。
1. smart (賢い)
頭の良さを形容する時に、会話で最も多くに使われるのはsmartではないかと思います。辞書的な定義は、「知的であること、困難な状況において素早く知的に考える力があること」となっています。smartには元々「すばやい、機敏な」の意味があることから、頭の回転の速さや、機転が利くというニュアンスでの頭の良さだと言えます。
カタカナ日本語で「体型がほっそりしている」ことを「スマート」と言いますが、元となる英語のsmartに、その意味はありません。その場合はslim (スリム), slender (スレンダー) と言います。長らく使われていた「スマート」は、間違いだという認識が定着しつつあるようで、最近は使われなくなってきたと感じます。代わりに「スリム」「スレンダー」と言っていますね。
Ms. Peterson says Mike is one of the smartest kids in the class. (ピーターソン先生が言うには、マイクはクラスで一番賢い児童の一人とのことだ。)
2. intelligent (理解力のある、(高度な)知性のある)
intelligentは「知性があり、物事を容易に学び取り、理解する力があること」です。他の人が難しいと感じることであっても、その人にとっては理解が簡単だという場合はintelligentと言うわけです。高度な理解力を持つということです。
Mr. Einstein is a highly intelligent person who can think outside the box. (アインシュタイン氏は既存の考えに囚われずに考えることができる極めて聡明な人である。)
3. wise (賢明で思慮深く、分別がある)
wiseは「深い理解や人生経験に基づいて妥当な判断をすることができる力があること」です。集落の長老をイメージするとわかりやすいでしょう。学校の成績、学問知識の有無は特に指していないということになります。wiseの名詞形はwisdom (知恵、分別) です。
I never used to save money but now I’m a little older and wiser I can see the point of it. (貯金なんてしたことはなかったが、少し年を取って分別ができ、今ではその大切さがわかる。)
4. clever (利口な、如才ない、器用な)
「物事を素早く容易に理解する力を持っていること」です。smartやintelligentで説明したニュアンスを両方持っている語です。学校の教科書に出てくる「頭がいい」の代表はcleverだと思いますが、一番使いやすいからだということになります。
I have never been very clever, but I try hard. (私は利口だったことはないが、一生懸命やっている。)
5. cunning (悪賢い、狡猾な)
「試験でズルをする行為を『カンニング』と言うが、英語でcunningとは言わない。いわゆるカンニングは英語ではcheatingと言う」という話は、英語学習者なら一度は聞いたことがあるはず。カンニングの元になったcunningは「悪賢い、狡猾な」ということです。試験の不正行為はcheatingですが、それをする人をcunningと言うのは正解なのです。「欲しいものを手に入れるために、特に人をだまして何かを企てる賢さ」です。
He’s cunning, cunning all around, absolutely. (奴は狡猾だ。すべてにおいて。まさに。)
「頭が良い」の、語彙による意味合いの違いをいくつか紹介しました。他にもたくさんの表現があります。いろいろあって、時には圧倒されるかも知れません。ですが、あきらめずにひとつずつゆっくり覚え、そして使っていくうちに自分の語彙になっていきます。語彙の多さは人間力につながるのだ!と自分を鼓舞してがんばってまいりましょう。
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!