■draw a blank
天才的な記憶力があったらいいなと多くの人が思います。学校や仕事のことで特にそう感じますよね。一度聞いたら、見たら忘れない。どれだけ役に立つでしょうか。
記憶法はいろいろな種類があります。記憶力を競う大会もあります。有名なもののひとつに、円周率を何桁まで言えるかを競うもの。紙の時代だと、電話帳を一冊丸暗記した人がいました。
おもしろいのは、それらの記憶の達人の日常生活はいたって普通だということ。私たちと物忘れのレベルはさほど変わらないのです。明確な目標が定まった分野があって、そして努力しないといけないのですよね。忘れるようにできているのが人間だということです。
普段の生活で、記憶に関連する話としては:
- 人の名前を思い出せない。
- 答えを知っているのに、授業で当てられると言えなくなる。
などがあります。ど忘れ、です。これを表す熟語に、
draw a blank
というのがあります。直訳すると「空白を引く」となりますが、何のことやら。
drawは「線を引く」と「引っ張る」という意味があります。「引」の字が共通していますね。blankは「(用紙などの)空白部分」のこと。では、draw a blankとは、本来はどういう意味なのでしょうか。実は、「空くじ・ハズレくじを引く」なのです。
私がこのフレーズを知ったのはつい最近のことです。勝手に、「ネット検索結果が真っ白になる」だと思ってしまいました。頭の中の検索結果が真っ白になるイメージになって「忘れる」なのかな、と。全然違いましたわ。
draw a blankで「空くじを引く」という意味です。そこから「欲しい物が手に入らない」という意味に広がり、そこからさらに「知っているはずの答えが出てこない」になったということです。
上の私の勝手な想像は現代的なイメージですが、実際には16世紀まで遡る表現でした。エリザベス1世の時代のイギリスです。この時に初めて国が宝くじを始めたのだそう。一般的に、くじには「ハズレ」と書いてあると思いますが、この時のハズレは真っ白でした。だからblankなのですね。
なお、「ど忘れ」の意味で使われるdraw a blankですが、由来から連想できるように「発見・入手できない」の意味でも。空くじを引くとどういう気持ちになるかを踏まえると、意味の記憶は楽になりますね。draw a blankをど忘れしないようにしたいものです。
■例文
(1) She asked me the street name, but I drew a blank.
(彼女に通りの名前を聞かれたが、パッと答えられなかった。)
(2) Why do we recognize a face, but sometimes draw a blank when it comes to the name?
(顔はわかるのに、名前が出てこないことがあるのはなぜなんだ?)
■Today’s One Word
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!