■red-carpet treatment
世の中には偉い人がたくさんいます。すごい人がたくさんいます。メディアの向こうだけでなく、身近にもたくさんいます。
でも、世間的に言われる偉い人、すごい人はいわゆるVIPのことが多いですね。VIPを「ヴィップ」と言う人がいると思いますが、英語ではアルファベット読みをします。つまり「ヴィー・アイ・ピー」と言いますよ。ぜひ覚えておいてくださいね。
中学生かそこらの年齢の頃、私はVIPとは超人的な特殊能力を持った人のことだと思っていました(実際、ある意味では当たっていると思いますけど)。それで、この英語はきっと専門的な意味を持つ、長ったらしい単語の頭文字なんだと勝手に想像していました。ですが、答えは至ってシンプルで
Very Important Person
の頭文字だと、後で知ったわけです。簡単な単語だったんだなあと、少しがっかりした思い出があります。
さて、VIPは重要な人ですので、公式行事に参加する時はたいてい丁重なおもてなしを受けます。車のドアは自分で開閉しなくてもいいですし、荷物は他の人が運んでくれます。また、VIPで連想するものに赤いカーペットがありますね。ニュースを見ていれば、国会議事堂の赤絨毯。エンタメ系では、アカデミー賞など。有名な俳優や監督が赤絨毯の上を歩いて行きます。
人を丁重、あるいは盛大に迎える時に通路に赤絨毯を敷き詰める。これは、1902年のニューヨークの鉄道が最初ではないかとされています。高級列車に乗客(もちろん、お金持ちの)を誘導するための目印として、通路に赤絨毯を敷いたそうです。アカデミー賞で見られる通路上のカーペットはこれに倣ったものであろう、と。赤いカーペットは次第に人々の間で盛大な歓迎、おもてなしのシンボルと捉えられるようになっていきます。すると今度は、実物がなくても、言葉の中で、比喩として使われるようになっていきます。
red-carpet
とハイフンで結んだ一語扱いの形容詞が一般化し、
red-carpet treatment
と言えば、「赤絨毯の扱い」です。treatmentは「(人や物の)扱い」の意味ですが、単純に言えばVIP待遇のような意味です。
このtreatmentをreceptionに言い換えれば、「赤絨毯の歓迎」になり、つまり「盛大な歓迎、お出迎え」ということですね。
一度でもいいから、赤いカーペットの上を歩いてみたいと思うか。照れくさいから、そういうのとは無縁でいいと思うか。そこは、人それぞれだとは思いますが、もし実際に歩いてみたとしたら、赤い色に脳が刺激されて、気分が上向きそうな気はします。さて、どんなものなのでありましょうか。
■例文
(1) Bill was embarrassed by the red carpet treatment.
(ビルはVIP待遇にとまどっていた。)
(2) Since John is their only child, Robert and Mary give him the red-carpet treatment whenever he returns home.
(ジョンは一人っ子なので、ロバートとメアリーは彼が帰省する度に最上級のもてなしをする。)
■Today’s One Word
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!