■eavesdrop on [誰それ]

今では一部問題のある物件を除き、多くの賃貸住宅は防音がしっかりしています。大昔は、隣の住人の話し声がリアルに聞き取れるような建物の話がありました。よほど壁が薄かったのでしょう。会話もいびきも隣に丸聞こえというのは、そんなに珍しいことではなかったと思います。

私は学生時代、広くて安い部屋を見つけたので即決しました。広いのはいいのですが、「安い」はお約束のようにデメリットに対する価値でした。古い建物だったので、予想通りの展開です。防音と断熱がまるでダメだったのです。隣の人の会話は、丸聞こえというほどではないですが、聞こえていました。なぜかはわかりませんが、その人は時々吠えていました。きっと満月だったのでしょう。いびきもよく聞こえました。相当お疲れだったのでしょう。

このような感じで、聞こえていたのです。ただし、意図して聞いていたのではありません。勝手に聞こえてくるのです。壁が薄いので。

しかし、世の中には、人の話をこっそり、意図的に聞こうとする人もいます。会議室での話し合いを廊下で立ち聞きする人がいます。時代劇なら、天井裏に忍び込んで悪代官の悪巧みを聞く人がいました。このような「立ち聞き」や「盗み聞き」をすることを英語では

eavesdrop

と言います。eavesとは、家屋の軒や庇(ひさし)のことです。雨が降ると、庇から水がポタポタ落ち(drop)ます。最初はこの水をeavesdropと呼んでいました。さらに、この水が落ちた辺りの地面のことをeavesdropと呼ぶようになります。それがいつの頃からか、eavesdropは「立ち聞きする」の意味になったのです。そのeavesdropと呼ばれる軒下の所で、家の中の話に耳をそばだてる、と。不思議な言葉の変化ですが、大昔なら軒下にいれば盗み聞きは十分可能だったことでしょう。

語法的には、eavesdropは自動詞です。eavesdropだけで「立ち聞きする」の意味になります。もし、「誰それ」と目的語を加えたい場合は、前置詞のonと一緒に使います。例文を参考にしてください。

eavesdropは意図的な行為です。立ち聞き、盗み聞きですから。でも、たまたま通りかかったところで会話が耳に入ってくるようなこともあります。意図せずに「ふと聞こえる」という場合です。「(通りすがりのタイミングなどで)ふと聞こえる」はoverhearという別の動詞になります。下の例文(2)をチェックすれば、ニュアンスの違いはわかるはずです。

さらにさらに、テクノロジーを使った会話の傍受があります。立ち聞きの上を行く行為で、いわゆる「盗聴」です。こちらはwiretapと言います。eavedropなら謝れば許してもらえる可能性はありますが、wiretapは法的にまずい場合も。私たちには普段は用事のない行為ですので、単語の知識だけに留めましょう。

冒頭の、私が住んだ古い部屋ですが、そこで起こったのはoverhearです。私はいくら壁が薄くても、eavesdropはしませんでした。まして、wiretapなんてとんでもない。と強引にまとめます。

隣の住人は、しばらくの後、イタリア人留学生だということがわかりました。残念ながら、あまり交流は持てませんでしたが、日本語能力のとても高い人でした。

~今日のフレーズ~

eavesdrop on [誰それ]

(盗み聞きする、立ち聞きする)

■例文

(1) I didn’t mean to eavesdrop on your talk.

(あなた方の会話を立ち聞きするつもりはありませんでした。)

(2) I didn’t mean to eavesdrop, but I just overheard you.

(立ち聞きする気はなかったのですが、ついあなたの話が聞こえてきたのです。)

■Today’s One Word

今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!

無料メール講座を購読する

公式LINEからの配信を受け取る

英語コーチングとは

各コースのご案内

メールでのお問い合わせ

にほんブログ村 英語ブログへ
にほんブログ村