■coverage
携帯電話が普及し始めた2000年代初期は、圏外と表示される場所がよくありましたね。端末はガラケーからスマホに代わってきましたが、各社の努力、Wi-Fi環境の整備により、通信に不自由を感じることはなくなりました。普段あまり意識することはないですが、通信エリアが作られていることで私たちは端末を利用することができています。このエリアのことを英語では
coverage
と言います。字面からわかる通り、coverの派生語です。coverage自体は「覆う範囲」の意味です。スマホ関連以外では、メディアによる取材(が行われた範囲)のこともcoverageと言っています。そうすると、coverageと言うだけでは意味が曖昧になる場合も出てくるので、「携帯電話の通信範囲」と具体的に言いたい場合には、cell-phone coverage, smartphone coverageのように言えばよいのですが、携帯機種の名称が変化したことを受け、英語圏メディアではmobile coverageというのが一般的になってきているようです。
世間話レベルで通信エリアが話題になることはほとんどないと思いますが、IT関連など、技術系の話をする可能性はゼロではありませんので、たまにはcoverageなどの語彙を仕入れておくのもよろしいかと思います。下の例文をぜひ参考にしてください。
余談:携帯電話の英語
初期の携帯電話を英語ではcellular phoneと呼びました。日本には沖縄セルラー株式会社がありますが、このセルラーはcellularのこと。原音は「セリュラー」です。「細胞」を英語ではcellと言いますが、cellularはその形容詞で「細胞の、細胞質(状)」のです。なぜcellular phoneなのでしょう。これ、上のcoverageの話と関連しています。通信エリアを地図上でイメージすると、各基地局が網羅するエリアがたくさんあり、隣り合っています。よく見るとこれが生物の教科書で見るような細胞の集合に見えるのですね(と、少なくとも当時の技術者は思った)。細胞が並んでいるように見える通信エリアの中で使う電話だから、cellular phoneだ!となったわけでございます。
ただ、言葉としては欠点がありました。英語ネイティブにとってもcellularは発音しづらいのです。セリュラーのリュラーがいいにくいぞ、と。そこでcellularの語幹であるcellに縮めてcell phoneと呼ぶようになりました。直訳すると「細胞電話」なので意味不明なわけですが、こういう経緯があったのですね。同時に、持ち運びができる電話という意味のportable phoneという呼称も普及しましたし、移動式の電話の意味でのmobile phoneも広まりました。cell phoneかmobile phoneが多く使われていたと思います。そこへスティーブ・ジョブズが一発かましてくれました。smartphoneの登場です。今ではほとんどの人がスマホですので、smartphoneが日常語になりましたが、古いタイプを使い続ける人はいますので、総称としてはmobile phoneと言うのが一般的です。そしてオチですが、機種が何であれ「電話」なので、phoneでいいじゃん、となっています。
今後どのような端末が登場するか想像は及びませんが、人間がどこまでもめんどくさがりな生き物であることを考えると、スマホを手に持つのが嫌になることでしょう。メガネのように使うなら、iPhoneならぬ、eye-phoneが出るかも。耳にひっかける小型タイプなら、earにかけるphoneの意味でのear-phoneかも。でも、すでに存在するイヤホンのearphoneとの区別がめんどくさいので、別の名前が必要ですな。頭に埋め込んでしまえとばかりにbrain-phone、略してb-phoneなどという時代も来るかも知れません。今の私が妄想できる最大サイズは地球空間全体を利用するearth-phone、略してe-phoneです。そこらの空気をタップして情報を得ている人類の姿・・・我ながらアホかも知れませんが。
coverageの紹介でしたが、大きく脱線しました。
~今日のフレーズ~
coverage 通信エリア
■例文
(1) The carrier is expanding its coverage.
(その携帯電話会社は通信エリアを拡大しています。)
(2) There is no mobile coverage in the area we are planning to visit.
(我々が行こうとしている地域は通信圏外です。)
■Today’s One Word
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!