■Nice guys (always) finish last.
理想通りに行かないこの世界。差別はなくならないし、炎上も収まらないし、戦争も起こります。心の中では、争いのない、誰もが仲良く暮らせる世界がいいと思っていますが、家から一歩出ると考え方も性格も違う人と摩擦が生じます。
正しく生きることを心がけますが、難しいこともあります。キリストやブッダの話は心に刺さりますが、完全に実践できるかというと難しい。どうしてかと言うと、正直者は馬鹿を見るから、これが本音でしょう。
あの人はズルをして得をした。自分はフェアにやっているのに報われない。憎まれっ子世にはばかる、です。そのような愚痴をこぼす人に、私たちは言います。
- そういう人にはいつかバチが当たる
- フェアにやっているあなたはいつか正当に評価される
でも自分が同じ目に遭うと、やはり憤るのですな。
「正直者は馬鹿を見る」「憎まれっ子世にはばかる」、これに相当する英語の表現に
Nice guys (always) finish last.
というのがあります。直訳は
「良い人は(常に)最後に終わる・最下位でゴールする」
です。Googleで検索すると一番上に、「ナイスガイは最後にフィニッシュ」と出てきますが、笑って無視しましょう(間違いだとは言いませんけど)。
難しい表現ではないので、特に解説は不要だと思います。ネット検索では「ことわざ」として解説しているサイトがありますが、実際にには、ことわざと呼べるほど時代を経た古い表現ではないようです。
このフレーズは米野球チーム、ブルックリン・ドジャーズ(Brooklyn Dodgers)の監督であったレオ・ドローチャー(Leo Durocher)が1946年に発した言葉が由来だとされます。下位チームのことを聞かれたレオは、
The nice guys over there are in last place!
(向こうにいる良い奴らは最下位じゃねえか!)
と言ったそう。これがきっかけとなり、Nice guys finish last.というフレーズとして一般に広まったそうです。
正直者は馬鹿を見る、これは恋愛の話でもよく出てきます。一般イメージでは、若い頃は、良い人・まじめ君はモテないと言われますね。特に十代くらいだと、ちょっとだけ悪いくらいの男子がモテたりします。この状況は他の国でも同じらしいです。
ところが、一緒に生活することが前提になると、お金の現実が出てきます。そうなると、良い人・まじめ君に勝機が訪れるような気はします。しかし、ごく一部だとは思いますが、生活基盤はまじめ君と、遊びはちょい悪君と、と分けて考えるパートナーも存在はするようで。こうなった場合は、「結局、Nice guys finish last.なのだな」とボヤきたくもなるでしょうね。
一般的な道徳論としては、Nice guys win last.と考えられてはいますけど、果たしてそれが真実なのか、理想なのか。最後に笑うのがどちらなのか、意外と難しい問題かも知れません。心が豊かか、貧しいかには、絶対的な定義はないでしょうし。考え続けると、哲学になっちゃいますね。
■例文
(1) If you think, “If I treat her like a human being is supposed to be treated, maybe she’ll like me,” the answer is no. Nice guys always finish last.
(一人の人間として彼女にきちんと接していけば、きっと好きになってくれると考えているなら、答えはノーだ。良い奴っていうのはビリなんだよ。)
(2) People say nice guys finish last. But the truth is stupid nice guys finish last.
(正直者は馬鹿を見ると言うが、実際は愚かなお人好しが馬鹿を見るんだよ。)
■Today’s One Word
今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!