■err on the side of caution

英語などの外国語習得に取り組むと、異文化という考え方に接します。最初の頃は生活様式や伝統に触れることが多く、そこから深い内容に入っていきます。中でも、物の考え方の違い、物事の進め方の違いは時に参考になり、時に衝突の原因となり、良い学びの機会になります。

よく国民性と言いますが、これを数値化しようとした試みがあります。ホフステッド指数と呼ばれるのがそれです。オランダの社会科学者ヘールト・ホフステッド氏が開発した、各国の国民性の指標を言います。

一例として、日本人は会議は好きだが結論を出したがらないとよく言われます。計画の実行までに時間をかけたがるとも言われます。問題が起こらないように慎重に検討してから、実行するタイプです。これに対し、インド人は、間違ってもいいからまずやってみよう。問題が起こったらその時に対処すればいいという考え方の傾向があるとされています。

このようなことがホフステッドでは数値化されていて、単なる感覚論ではなさそうだと感じさせられます。興味があれば、「ホフステッド」で検索してみてくださいね。

上の例は、日本人とインド人のリスク(将来的な危険性)の捉え方の話でした。何かに取り組めばエラーが起こるのはほとんど当然ですが、対処のタイミングに国民性が出るのですね。

では英語の話。

「エラー」は英語のerrorのカタカナ表記だということは誰でも知っています。しかし、errorに「間違える」の意味の動詞形があることは知っていますか?

err

と言います。米語なら「エア」のように、イギリス英語なら「アー」のように発音され、リスニングでは非常に聞き取りにくい単語のひとつです。日常的には、make a mistakeなどが使われるので、あまり見聞きする機会はありませんが。

今回は、このerrが使われるフレーズの紹介です。

err on the side of caution

で、「用心しすぎるくらい用心する、念には念を入れる」という意味です。フレーズの直訳は「用心の側で間違える」となります。理解しづらいですね。

完璧な方法、政策というのは、ほぼ存在しません。何かしらリスクやデメリットがあります。ですから、プランAやプランBなど複数を用意し検討します。このような状況でerr on the side of cautionは、

ネガティブな選択肢の中からあえて選ぶなら、用心深い方を取るのがましだ

どうせ間違えるのなら、ましな方で間違えよう

という意味になるのです。ちなみに、err on the safe side (どうせ失敗するなら、少しでも安全な方で) というバージョンもあります。

今話題になっているイーロン・マスク氏は改革を急ぐタイプの人のようです。用心深くなって決定を先延ばしにはしたくなさそうですね。決めて取り下げ、それをまた再開など、周囲は振り回されて困っていることでしょう。でも、直接関わりのない人たちから見ると、おもしろい人と映るのも事実だと思います。

err on the side of cautionの意味、一見すると「誰でもそうなんじゃない?」と思えます。しかし、世界の国民性を見ると、あまり当てはまらない場合もありそうです。また、個人のレベルになれば、リスクを恐れず大胆な行動を好む人が想像より多いのかも知れません。

~今日のフレーズ~

err on the side of caution

(用心しすぎるくらい用心する、念には念を入れる)

■例文

(1) We chose to err on the side of caution when planning our investments.

(投資の計画を進める時、私たちは念には念を入れることにした。)

(2) 30 people have replied to the invitation, but I’ve erred on the side of caution and put out 40 chairs.

(30人から参加の返事があったが、念のために40席を用意した。)

■Today’s One Word

今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!

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