■boil down

ある日本語表現について私は長い間使い方を間違えていたらしいと気づきました。

「煮詰まる」という言葉、あなたはどういう意味で使っていますか?私は考えても考えても結論を出せずに「行き詰まる」という意味だと思っていました。これ、元々は逆の意味で、「議論が十分になされて解決に近づくこと」なのですね。国語辞典によって「行き詰まる」の意味で使うのは間違いとするもの、容認するもの、いろいろのようです。

今回のフレーズ紹介の前に下調べのつもりで「煮詰まる」を検索したのですが、私は誤用の方しか知らなかったのだとわかりました。「行き詰まる」と「煮詰まる」の「詰まる」つながりで、混同が起こったのでしょう。

他動詞の「煮詰める」を確認すると「討議・検討を十分に重ねて結論を出す」とあります(行き詰まりの意味はありません)。煮詰めることによって結論を出すのですから、煮詰まったら結論が出るということになります。本来であれば、行き詰まらないですね。

英語の場合、lie (横になる) とlay (横にする) の意味の区別で混乱するのはネイティブも同じです。rise (上がる) とraise (上げる) を間違えるのはネイティブも同じです。conscious (意識的な) とconscience (良心) も混同されます。ですので、「行き詰まる」と言うべきところを「煮詰まる」と言ってしまう人がいるのは不思議ではないでしょう(実際私はその一人)。そのまま下の世代に「行き詰まる」の意味での「煮詰まる」が伝わってきたのでしょう、きっと。

さて、本題。「煮る」を英語ではboilと言います。ゆで卵が英語ではboiled eggなのはよく知られています。そして、英語にも「煮詰める」に近い表現があり、それが

boil down

です。downとあるのは体積が小さくなることを指しているのでしょう。煮れば煮るほど水分、汁がなくなっていきます。最後には、鍋の底にコロリンと固形物が残っているイメージです。この最後に残ったものを食べますが、いわば目標物です。

比喩的にはどうでしょうか。煮詰めて最後に残ったものは「結論、要点」です。この意味は日本語とほぼ共通しています。ここから、boil downと言えば、煮詰めた結果残るもの、つまり「要点を言う」「ずばり言う」となります。下の例文(1)を確認してくださいね。

日本語と少し違うのは、物を主語にできるという点です。物事がboil downすると「煮詰まり」ますから、結論・要点にたどり着くことになります(行き詰まるのではありませんよ)。

[物] boil down to [何々]

の形になります。煮詰まって~に至るということで「結局要点は~だ」という意味になるのです。例文(2)で確認してください。ニュースサイトなどを見ていると、時事英語などでは例文(2)のような使い方が多いと感じられますが、英英辞書サイトでもそちらの説明や例文がより豊富になっています。

boil downを紹介しようと思ったら、意図せず日本語表現の確認ができてしまいました。言葉は変化していきますが、元の意味と現在の意味についてなどを調べてみるのもおもしろいですね。

~今日のフレーズ~

boil down ずばり言う、要約する、結局要点は~だ

■例文

(1) Hey, why don’t you boil down what you really want to talk about.

(ねえ、本当に言いたいことをずばり言ったらどう?)

(2) Life boils down to the question of money, he said.

(人生は結局金の問題だと彼は言った。)

■Today’s One Word

今回は以上です。今日のあなたの精一杯の英語を話しましょう!!

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